Microsoftパソコンでは古くからデータ保存場所として、WordやExcel などのデータは「マイドキュメント」、デジカメの写真は「ピクチャ」というようなフォルダが、Windowsのシステムとして見やすい場所に備わっています。一方、C:ドライブを下方にたどると、直下の「ユーザー」～「個人名フォルダ」の下にも、「マイドキュメント」「ピクチャ」など同名のフォルダが存在します。
　あるとき友人からメールで、このことに関連する次のような主旨の質問をもらいました。
　う～ん！ すぐには質問の意味がわかりませんでしたが ・・・

＜Windowシステムの表示方法＞
　この疑問はパソコンのフォルダ構成を考えて、作ったデータをどこに保存しようかと常に考えている、パソコンにかなり詳しい人が陥るようです。下図左は、私のWindows10パソコンのデスクトップの一部です。ここの「PC」をクリックすると、下図右のようなPCのシステム構成図が表示されます。（この図の表示方法は「表示」～「一覧」で表示しています）
　この図を見るかぎりPCの直下に「ローカルディスク（C:）」があり、これと同じレベルに「ダウンロード」～「ミュージック」の6つのフォルダが見えます。実は、Microsoft がよかれと思って作った下図右の表示方法が、この疑問を生む要因になっているようです。

＜C:ドライブのフォルダ構成＞
　上図右のC:ドライブ直下のフォルダ構成のうち、「ユーザー」の下の個人名フォルダ「yoshi」の内容を示したものが右図です。「yoshi」の下に「ダウンロード」～「ミュージック」の6つのフォルダがあります。
　PCの直下の「ダウンロード」～「ミュージック」の6つのフォルダと、確かに同じに見えます。双方のフォルダの中を覗いても、まったく同じファイルが保存されています。
　また、「yoshi」の下には、この6つの他に7つのフォルダがあり、フォルダ数は合計13個あります。なぜ13個のうち6つだけが、PCの直下にあるのかも謎めいています。

　ただ、右図をよく見れば、もうこの疑問は解けたようなものです。上図の「PC」の実体は何であるか疑問が沸きます。その直下にある「ダウンロード」～「ミュージック」の6つのフォルダは、実は右図「yoshi」フォルダにある6つのフォルダそのものです。
　Microsoftはこの6つだけをよく使う保存用フォルダということで、入り口が2つある特殊なフォルダとして作ったのです。この6つはパソコン初心者が扱いやすいようにと、PCの直下からもたどれるようにした仮想フォルダです。

　もうおわかりでしょう。Windows10でいう「PC」には物理的な実体はなく、単に図表に付けた名前に過ぎません。ここまで私も “PC直下のフォルダ”という言い方をしてきましたが、そもそもこの表現は論理的に意味を持ちません。ファイルを保存する実体は、C:ドライブ、すなわちハードディスクだけにしかありません。

＜ドキュメントのプロパティ＞
　最後に「ダウンロード」～「ミュージック」の6つのフォルダのプロパティから、その本質をみていきましょう。
　例えば、前々図のPCの直下の「マイドキュメント」と、前図の「yoshi」の下の「マイドキュメント」を右クリック し「プロパティ」を選択すると、右図「ドキュメントのプロパティ」画面が開きます。いずれの場合も、同じ右図になります。
　右図で「場所: C:\Users\yoshi」の記述が確認できます。これはPCの直下の「マイドキュメント」と「yoshi」の下の「マイドキュメント」は、同じものであることを証明しています。一方のフォルダを削除するなどできません。

＜デフォルトのデータ保存場所＞
　ちなみに、WordやExcel などのデータの一般的な保存場所は、デフォルトで「ドキュメント」になっています。
　Word 2016と Excel 2016では、「ファイル」～「オプション」～「保存」～「規定のローカルファイルの保存場所」とたどると、「C:\Users\yoshi\Documents」が指定されているのを確認できます。この保存場所はここで設定変更することもできます。

　思うに、パソコン初心者はデータの保存場所など考えずに、「保存」ボタンを押す人がほとんどでしょう。データはデフォルトで決められた「ドキュメント」や「ピクチャ」に勝手に保存されます。経験上から、保存したWordやExcel のデータを見るときは「ドキュメント」を、保存した写真を見るときは「ピクチャ」から探します。
　ここで述べたような疑問にはほど遠い、これはこれで幸せなパソコン人生といえるでしょう。