<IT情報・確定申告編> IT情報TOPヘ

確定申告で夫婦2人分の年金を合算していませんか?

(2024年02月23日 改定)

 夫婦が共に年金をもらっている場合に、確定申告は 2人分の年金収入を合計して申告するもの、と勘違いしている人はいませんか。こんなことをすると還付金が少なくなったり、逆に追徴課税されるハメになってしまいます。大事なことは 収入は個人に帰属する ものですから、確定申告は申告者本人の収入のみを申告するのが原則です。
 法的には「源泉徴収票」が届いた人は確定申告をしなければならないということです。ただし、「年金生活者は収入が400万円以下で、他の所得が20万円以下の人はこの限りでない」という但し書きがあり、法的に申告が必須の人は減ってしまいます。
 ただ、届いた源泉徴収票の「源泉徴収税額」に数値のある人は、確定申告をすると多くの場合なにがしかの「還付金」が返ってくる可能性があります。このページでは年金生活者の確定申告を、専業主婦で夫のみのみで申告する場合と共働きで夫妻別々にする場合に分けて、どのように申告するかを調べた内容を記述しています。

)税に関する法律では「収入」と「所得」を厳格に区別して用います。すなわち、「収入」から必要経費(または法で定められた相当額)を差し引いたものが「所得」で、その計算方法は法で定められています。この所得から「所得控除」を差し引いた「課税所得」に税率を適用して所得税額を計算します。

<確定申告不要制度>
 先に述べたように収入は個人に帰属するものですから、その税額を確定する確定申告は個人単位でするのが基本です。ただ、事務手続きを簡易にするために、年金生活者の確定申告には次のような「申告不要制度」の規定があります。

収入が400万円以下で、他の所得が20万円以下の人は確定申告をしなくてもよい。
・この場合であっても所得税の還付を受けるための確定申告をすることができる。

 上記によると、夫婦とも確定申告をしなくてもよいという家族もいるでしょう。ただ、そんな場合であっても所帯主だけは確定申告をしてください、と奨めるのがこのページの目的です。受け取っている年金は前以て源泉徴収されています。この源泉徴収は取られ過ぎていても、黙っていては何も返ってきません。源泉徴収とはそんな法的仕組みのようです。
 多くの年金生活者は医療費が嵩み、生命保険・地震保険・孫の学資保険に入り、災害や異変に寄附する人も多いでしょう。こんな人は確定申告をすれば、ほぼ全員なにがしかの還付があるはずです。

<年金収入の入力>
 まず会社を退職した夫と専業主婦の妻の2人家族で収入は、夫は会社勤めの年金のみ、妻は国民年金と若干の他の所得があるとします。こんな家庭の世帯単位の確定申告の記入方法を考えてみましょう。夫が申告者となりますが、収入や所得税の計算は世帯単位ではなく個人単位ですることになっており、夫婦の収入を合算することはありません。
 入力は国税庁の「確定申告等作成コーナー」の入力画面を利用するとします。夫の「収入」は下図の「雑所得」~「公的年金等」欄の「入力する」を押して、所得税法203条3の種類を分けて記入します。公的年金から介護保険料が徴収されている場合は、ここで記入します。夫の所得は法に則って自動計算され、結果はその右欄に表示されます。
 妻に年金や他の所得があっても下図には入力しません。また、妻の公的年金から介護保険料が徴収されていても、夫の介護保険料に加算することはできません。

 参考までに、下表「公的年金等に係る雑所得の速算表」を転載します。各自で税法上の所得を下表を見ながら電卓で計算してみてください。自動計算された金額と同じ値になるはずです。
 下表の「65歳以上の方」を見ると、収入110万円以下では所得 0円となっています。専業主婦だった方はほぼこれ以下でしょうから、手続きは何もしなくても法的には所得なし・還付金なしで確定申告したと同じことになります。


<配偶者控除の入力>
 下図で妻の年金や他の所得を入力します。下図の「配偶者控除」欄の「入力する」を押して入力を始めます。配偶者の「氏名」と「生年月日」を入力して、下表に収入金額等を入力します。上記の「公的年金等に係る雑所得の速算表」によると、年齢が65歳以上で年金収入が110万円以下なら所得は0円、すなわち年金の所得はなしとみなされます。

 年金収入を含めて 給与やその他の所得があれば下表に入力してください。法に則った配偶者控除額を計算してくれます。


<夫婦ともに相当額の年金がある場合>
 夫婦ともに年金収入があっても、送られてくる源泉徴収票の「源泉収税額」欄が「0」の場合は還付される税金はありません。
 以下は夫婦ともに相当額の年金がある場合で、夫の方が年金額が多いとしましょう。こんな場合は 2人個別に確定申告してみてください。双方とも還付金がある場合は個別申告を続けてください。その場合であっても夫の申告書には前項の配偶者控除の入力をしてください。控除額は少ないかもしれませんが「配偶者控除」の対象になることが多いようです。
 また、医療費は家族で合計してもよいとなっており、夫婦のどちらか一方にまとめることができます。さらにいうと、所得が大きい方に家族で合算して申告する方が節税になるということです。



ページ
トップ