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ディスプレイの小さい文字を大きく設定する法

(2012年03月08日)

 「Windows7でメールやインターネットの文章を読むとき、老眼のせいもあるが文字が小さいのに難儀しています」 「Windows7の微小文字は年寄りには不親切であり、高齢化社会を知らないのかと申したいところです」
 近頃、私と同年配の友人からWindows7に対してこんな苦情を聞きます。う~ん! でも見かけはそうですが、実は近頃のパソコンはお年寄り向きにもなっているのです。文字は小さくなっても、目にやさしいきれいな表示になりました。一方、簡単な設定でこの微小文字が、きれいな文字のまま大きな文字に早変わりもします。常時使う文字を任意の大きさに設定することは容易なのです。
 最近のパソコン用ディスプレイの技術進歩はすばらしく、少し高級なパソコンならハイビジョンテレビと同じドット数「1920×1080」のディスプレイも見るようになりました。ドット数が増えた分、ディスプレイに表示できる情報量は増大しましたが、文字も画像も小さくなりました。
 今回は Windowsシステムとアプリケーションのすべてにおいて、ディスプレイで表示する文字と画像を大きく設定する話です。その後は必要に応じて、アプリケーションごとに表示を「拡大/縮小」することもできます。

<最新ディスプレイの表示能力>
 下記は最新カタログから、Windows7パソコンのディスプレイの「最大表示ドット数」を調べてみました。下記は主要4社のその概要です。
◇NEC
 デスクトップ 23型・21.5型: 1920×1080ドット
 ノート 15.6型・10.1型: 1366×768ドット
◇Fujitsu
 デスクトップ 23型: 1920×1080ドット、20型: 1600×900ドット
 ノート 15.6 型・13.3型・11.6型: 1366×768ドット
◇Panasonic Let’s note
 ノート 15.6型: 1920×1080ドット
 ノート 12.1型: 1600×900ドット
 ノート 10.1型: 1366×768ドット
◇Sony VAIO(ノート型は一般向けとプロ向けの2系列があるようです)
 一般向け: NECやFujitsuと同じ標準的なドット数
 プロ向け: F・S・Z・Yの4シリーズで、Panasonic Let’s note と同じ高ドット数
◇(参考)私の古いXPパソコンのスペックも参考にしてください。
 Fujitsu FMV-NB40S ノート 15.0型、横縦比4:3、1024×768ドット

 ディスプレイの横縦寸法比は、XPでは4:3(=16:12)、Vistaでは16:10 のものが主でしたが、現在のWindows7ではほとんどが横長テレビと同じ16:9 になっています。また、技術の進歩でディスプレイの最大表示ドット数も、どんどん大きくなっています。
 Windows7のデスクトップ型は 1920×1080ドットのフルハイビジョン表示が主流で、ノート型では 1366×768ドットのものがほとんどです。ただ、Panasonicの Let’s note などはプロ向きということで、ノート型でより高ドット数のディスプレイになっています。

<ディスプレイの解像度>
 ディスプレイの表示能力やプリンタの印刷能力などを表す用語に「解像度」があります。解像度は単位長さ当たりのドット数で定義します。通常は1インチ(=25.4mm)当たりのドット数をいい、単位は「dpi」(dots per inch)で表します。
 ところが、ディスプレイのスペックだけは1366×768、1600×900、1920×1080 といったディスプレイの表示ドット数、すなわち表示可能な最大のドット数を解像度という習慣が定着しています。ややこしいので、IT情報シリーズではこれを「最大表示ドット数」と呼ぶことにします。

 最大表示ドット数が大きければ解像度も大きくなりますが、以降の説明ではより論理的な扱いができる解像度を多く使うことにします。ここで、前項のWindows7の代表機種の解像度を計算してみます。ピタゴラスの定理と四則演算で、計算は容易ですので結果のみを示します。
 NEC デスクトップ21.5型: 1920×1080ドット(約207万) → 101dpi
 Fujitsu ノート15.6型: 1366×768ドット(約105万)   → 100dpi
 Panasonic ノート15.6型: 1920×1080ドット(約207万)  → 141dpi
 (参考)WindowsXP Fujitsuノート15型 : 1024×768ドット(約78万)→ 85dpi

 現在の一般的なノートパソコンのディスプレイの表示能力は、およそ下記のような値です。
   
総ドット数100万ドット解像度100dpi
 この値を記憶しておくと、ディスプレイの設定はもちろん、プリンタやデジカメの設定を考えるときにも大いに参考になります。単位を mmで表すと 1インチ=25.4mmですから、100dpi は1mmの中にほぼ4ドット、1mm四方に16ドットということになります。

 さて、WindowsのOS設計は、文字の大きさはドット数で決める ようになっています。解像度が大きなディスプレイを購入すれば、一つのドットの大きさは小さくなりますから、文字の大きさ(縦横の長さ)は小さくなります。
 上記のFujitsu製ノートの15型WindowsXPと15.6型Windows7を比較すると、その解像度は83dpi から100dpi と約20% アップしています。すなわち文字の大きさは20% 小さく、面積で40% 小さくなっているので、WindowsXPからWindows7 に乗り換えた人の多くは、文字の大きさが極端に小さくなったと感じるのでしょう。

<Vista7 で文字を大きくする設定>
 まずは理屈抜きに、最新のWindows7パソコンでシステムの文字サイズを大きくする設定をしてみます。デスクトップの何もないところを右クリック ~「個人設定」から、表示される画面の左ペインの「ディスプレイ」をクリックすると、下図「ディスプレイ」画面が表示されます。

 

 ここで「小?100% (既定)」が既定(デフォルト)で選択されていますが、「中(M)?125%」や「大(L)?150%」を選択すれば、文字を大きく表示するようになります。また、上図左列の「カスタム テキストサイズの設定 (DPI)」をクリックして、「カスタムDPI 設定」画面を使えば、任意の「%」値に設定することもできます。
 この変更を保存するには、一度Windows7をログオフします。(この変更の保存は、XPやVistaまではWindowsの再起動が必要でした)
 この文字の大きさの設定の考え方は次のようになります。上記のWindowsXPとWindows7ディスプレイで、その解像度が83dpi から100dpi と約20%アップしているので、上図でその値に近い「125%」を選択すると、WindowsXPからWindows7 に乗り換えた人は、文字の大きさがほぼ従来と同じになります。

 Vistaの場合は、デスクトップの何もないところを右クリック~「個人設定」から、表示される画面の左ペインの「フォントサイズ(DPI)の調整」をクリックすると、下図「DPIスケール」画面が表示されます。下記画面からシステムの文字を任意の大きさに変更できます。

 

 ところで、上述の文字を大きくする設定では少し問題点も発生します。この設定では高解像度を保ったまま文字の大きさを変えることができますが、高解像度ディスプレイではドットそのものが小さいので、文字の太さが細かい ヒョロッとしたもやし文字になってしまいます。
 ただ、この細い文字を少し肉太の見やすい文字にすることもできます。Internet Explorerなどのブラウザで使うフォントは、デフォルトで「MS Pゴシック」が設定されています。これをVistaから採用された「メイリオ」フォントに設定変更する方法です。このフォントには「ClearType」という液晶ディスプレイ上の可読性を向上する技術が搭載されています。ディスプレイで見る日本語を画期的に見やすくしてくれます。近々ホームページに書く予定をしています。

<DPI設定の対象>
 このDPI設定の機能は、XP時代から搭載されてきました。XPの時代には、このDPI設定は文字のみを大きくする機能で、写真や図表などの画像は変化しませんでした。ところが、WindowsVista以降はDPI設定の対象が大きく変わり、文字と画像が共に変わるようになりました。
 これは大きな改革です。Windows Vista,7,8 では、DPI設定で写真や図表などの画像も、文字と同じ比率で大きくなります。Windowsの表示画面などのOSと、すべてアプリケーションの画面が同じ比率で変わるわけです。Windows全体が、アプリケーションも含めてこの影響を受けることになります。

 この考え方は、例えばブラウザにも適用されています。WindowsVista以降のIEでは「表示」メニューに、新しく「拡大」というサブメニューができました。文字だけでなく写真や図表などの画像も、同じ比率で大きくなります。「表示」メニューの「文字のサイズ」は、XP時代から続く文字の大きさだけを変える機能です。
 ブラウザで「拡大」機能を操作するということは、OSの中で密かにDPIの値を変えているのです。「文字のサイズ」を操作するということも、OSの中で密かにXP時代のDPIの働きを変えているのです。

<メーカー独自のサポートソフト>
 さて、ディスプレイの解像度に対応して文字の大きさを簡単に設定変更するため、独自のソフトをサポートしているパソコンメーカーもあります。例えば、Fujitsuでは下図のようなサポートソフト「ゆったり設定」をサポートしています。文字の大きさ設定の他に、マウスの動作設定もできます。
 同じ目的で、NECでも早くより「パソらく設定」というサポートソフトを搭載してきました。これらの独自サポートソフトは、「スタート」ボタン ~「すべてのプログラム」から使えるようになっています。

 

<擬似的に画面の解像度を変える>
 文字の大きさを変える方法は今まで説明してきた「DPI」を変える方法の他に、もう一つ「画面の解像度」を変更する方法があります。デスクトップの何もないところを右クリックし、表示されるメニューから「画面の解像度」をクリックします。下図「画面の解像度」画面が現れます。(ここではディスプレイの表示ドット数のことを解像度と呼んでいます)

 

 上図の「解像度」の既定値は、表示可能な最大表示ドット数 1920×1080(推奨)が設定されています。一般に最大表示ドット数は、そのディスプレイに最適な表示になるように設計されており、推奨される設定ドット数です。
 ここで赤丸で囲んだ「▼」をクリックし現れるスライダーを動かして、解像度を任意の値に(見かけ上)変更できます。 例えば、上図の1920×1080 を1600×900、1366×768 などと小さくすると、文字と画像を共にバランスよく大きく表示できます。
 しかし、本来ディスプレイの持つ高解像度を犠牲にするわけで、文字や画像の表示が若干滲んでくるのは仕方ありません。私はこの方法で画面の解像度を変えることは推奨しません。



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