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Word文書は「段落」を意識して作成しょう

(2012年06月04日)

 Wordで文章を作るとき、フォントをMS明朝にする、フォントを太字にする、中央揃えにする、行間を狭くする、インデントをする・・・などの操作をします。こんな操作をするとき大切なことがあります。それは「文字」に対しての操作か、「段落」に対しての操作かを常に意識することです。
 特に段落に対しての操作を意識することは、スムーズにきれいなレイアウトで文章を作ることにつながります。Word初心者を卒業できるかどうかは、段落という概念を理解できるかどうかにかかっているとも思います。
 では、このWordの段落とは何なのでしょうか。今回はWord2007のリボンを操作しながら、この段落についての考え方をみていきます。

<段落とは>
 Wordでいう段落は、私たちが文章を作るときの国語的な意味の段落より、もう少し広く定義します。Wordでは「Enter」キーの次から「Enter」キーで終わる文章を段落といいます。下記の文例では、赤丸で囲んだ「Enter」キーで終わる4つの段落があります。(下記文例は本稿の内容とは関係ありません)

 

 上記の段落のうち、上2つは文字列が段落になっており、3つ目と4つ目は学校で習った国語的な段落と同じ意味の段落です。Wordでは上記のように段落を定義していますが、このように段落を定義することでどんな嬉しいことがあるのでしょうか。順を追ってみていくことにします。

<文字書式と段落書式>
 上記の文例の表題「電子メールの文字コード」は、フォントサイズを他より大きくして、かつ太字になっています。下図はWord2007の「ホーム」タブ ~「フォント」グループを示していますが、ここの「フォントサイズ」ボタンと「太字」ボタンを使って設定したものです。

 

 この「フォント」グループで操作する書式が、フォントを明朝体にする、フォントサイズを大きくする、太字にする・・・などの「文字書式」です。設定したい文字列を「文字単位でドラッグ」して選択した後に文字書式を設定します。

 これに対して、段落ごとに設定される書式が「段落書式」です。Word文書を作るとき段落書式を上手に使うと、よりスムーズにきれいなレイアウトで文章を作ることができます。段落に設定される書式は、下図に示す「ホーム」タブ ~「段落」グループにあるボタンで設定します。

 

 上記の文例の「2011.10.15 yytomy作成」は右揃え、表題「電子メールの文字コード」は中央揃えになっていますが、これらは段落ごとに設定される書式です。段落の選択は「段落内にカーソルを置く」だけよく、設定した段落書式はその段落全体に及びます。段落書式の設定は、段落内の一部をドラッグして選択しても、段落内にカーソルを置くことと同じ意味になります。2つの段落をまたいで選択するときは、双方の段落の一部分ずつを選択すればOKです。

<行送りと行間>
 ここでWordの「ページ設定」について少し復習をしておきます。Wordを使うに際して、用紙の大きさ、余白、1行の文字数、1ページの行数、フォントの種類、フォントの大きさなどをあらかじめ「ページ設定」として決めておく必要があります。ただ、Wordをインストールしたとき、すでにMicrosoftが「ページ設定」のデフォルト値を決めており、Wordを起動するとこのデフォルト値で文書が作成されるようになっています。
 ただ、私にはこのデフォルトの余白が大きすぎるので、この余白と関連する設定を変更して使っています。Word2007での設定は、「ページレイアウト」タブ~「ページ設定」のダイアログボックスランチャーをクリックして「ページ設定」画面を開きます。

 

 「ページ設定」は上図の「ページ設定」グループの各ボタンからもできますが、細かい設定をするには下図の「ページ設定」画面を利用するのが便利です。ここで設定変更した後に「既定値として設定」ボタンを押すと、以降この値が「ページ設定」のデフォルトとなります。

 

 ここで上図の「行送り」に注目してください。余白を決めて1ページの行数を決めると、自動的にこの「行送り」は決まってしまいます。「行送り」は1行分の行間ピッチで、上記の設定例では19.4ptです。「行送り」は、次項で説明する段落の「行間」と同じものです。
 ただ、「行送り」の対象がWord文書全体であるのに対して、「行間」は段落を対象とした用語です。Word文書全体は「行送り」で決めておき、特定の段落のみ「行間」で変更しようということです。

(注)pt とは
 pt はpoint(ポイント)の略で長さの単位です。1pt=1/72 inch、1inch=25.4mmですから、1pt=25.4/72=0.3528mm=約0.35mmです。pt は印字寸法の単位にも用いられ、Wordのデフォルトのフォントサイズ10.5pt は、高さ3.7mm(0.3528×10.5=3.7)ということになります。

<行間の設定>
 この「行間」をもう少し具体的に説明します。「行間」とは「行の上余白から次の行の上余白まで」の間隔、言い換えると「行と行の真ん中から次の行と行の真ん中まで」の間隔です。

 

 最初の文例ではすべての行間は、前項の「ページ設定」画面に示すように19.4pt でしたが、下記の文例では次の2つの段落書式が設定変更されています。
・4つ目の段落の行間が12pt 固定で狭くなっています。これは段落内の行間の設定です。
・4つ目の段落の前に 0.5行6pt)が追加されています。これは段落間の行間の設定です。

 

 これら行間の設定の方法をみていきます。行間の設定は目的の段落にカーソルを置き、下図のように「段落」グループの「行間」ボタンを押します。デフォルトの行間は「1行」、すなわち「行送り」の19.4pt になっていますが、下図の任意の値に行間を変更することもできます。

 

 もう少し細かい行間設定をしたいときは、上図の「行間のオプション」を押すと下図が現れます。「段落」のダイアログボックスランチャーをクリックしても同じです。

 

 上図「行間」の「最小値」「固定値」「倍数」について少し説明します。
最小値:行の中で一番大きいフォントが納まる最小の間隔を、その右の「間隔」で設定をします。
固定値:行間を固定し、その右の「間隔」で設定をします。本稿の文例では5つ目の段落の行間は、「固定値」を選択して「間隔」で12pt に設定しています。
倍数:指定した割合で行間を増減します。例えば 1.2 に設定すると行間が 20% 広がります。

 段落間の行間の設定は、変更したい段落にカーソルを置き、前図の「段落前」や「段落後」で設定します。本稿の文例の4つ目の段落の前の行間は、「段落前」で0.5行に設定しています。

<インデントの設定>
 次にインデント、すなわち字下げについて説明します。下記の文例では4つ目の段落が1文字分インデントされています。

 

 上の文例は4つ目の段落内の任意の場所にカーソルを置き、下図「段落」グループの「インデントを増やす」ボタンを1回押した状態です。もう1回押すと2文字分インデントされます。インデントを減らすには、「インデントを減らす」ボタンを押します。

 

 「ホーム」タブの「段落」グループでは左インデントしかできませんが、「ページレイアウト」タブの「段落」グループでは、左右のインデントが可能です。また、ここでは段落間の行間の設定も下図の「間隔」ですることができます。

 

 インデントの設定は、ルーラーにあるインデントマーカーをドラッグして設定する方法もありますが、ややこしいのでお奨めできませんし私は使ったことはありません。

<段落改行と行改行>
 下記の文例は前項の文例から、さらに赤丸で示した下向き矢印「」で文章が終わり、「ところで・・・」以下が改行されています。この見慣れない記号は「Shift+Enter」、すなわちこの2つのキーを同時に押したことを示しています。
 この「Shift+Enter」を「段落内の行区切りの改行」(以降 行改行と呼ぶ)といい、段落を変えずに行のみを改めたいときに使います。この行改行は箇条書きや段落番号のある文書を作るときに特に便利な改行で、最後に少し触れることにします。

 

 Wordではこの「Shift+Enter」を行改行と呼ぶのに対して、一般の「Enter」は「段落区切りの改行」(以降 段落改行と呼ぶ)といいます。この2つの改行も常に意識しておきましょう。

 

 ちなみに、「Ctrl+Enter」という便利な操作もあります。これは新しいページを開く「ページ改行」です。今書いているページの余白が数行残っていても、新しいページから文章を始めたいときに使うと便利です。

(注)編集記号の表示/非表示
 文章を作成中は「ホーム」タブ ~「段落」グループの「編集記号の表示/非表示」ボタンは、下図赤丸で示すようにオンにしておくことを奨めます。

 

 この「編集記号の表示/非表示」ボタンをオンにすると、「段落記号」や「行記号」、「スペース」や「Tab」記号などが表示され、各種の書式設定のとき目安になります。ちなみに、この設定で「Officeボタン」~「Wordのオプション」(Windows7では「ファイル」~「オプション」)の「表示」の「常に画面に表示する編集記号」は、「すべての表示記号を表示する」に自動的に(強制的に)チェックが付きます。
 この「編集記号の表示/非表示」ボタンをオフにすると、上記の「オプション」設定によっては、「段落記号」や「行記号」は表示されるが、「Ctrl+Enter」記号や「スペース」「Tab」記号などが表示されず、文章作成に不便なことも生じます。

<書式を初期化する>
 Wordは「Enter」キーを押して新しい段落に移ると、前の段落の書式を引き継ぎます。これは大変便利な機能ですが、ときにはわずらわしく感じることもあります。例えば、前項の文例で4つ目の段落には次の3つの段落書式が設定されています。
 1文字のインデント、行間が固定値の12pt 、段落の前に0.5行追加

 この4つ目の段落の最後で「Enter」キーを押すと、この3つの段落書式が次の段落に引き継がれます。こんな段落書式を引き継ぎたくないときは、即座に「Ctrl+Q」を押してください。段落書式が初期化されます。また、自分が意図しない段落書式を設定してしまうときがあります。こんなときも段落の任意の場所にカーソルを置き、「Ctrl+Q」を押してください。
 ちなみに、文字書式を初期化するには、初期化したい部分を選択して「Ctrl+スペース」を押してください。この2つは段落書式と文字書式を初期化する基本のキー操作です。

 文書を触っているときに書式がごちゃごちゃになって、文字書式も段落書式もすべて一気に初期化したい場合があります。こんなときはその部分を選択して、「ホーム」タブ ~「フォント」グループの「書式のクリア」ボタンを押します。

 

 下記はここまで変更してきた書式をすべて初期化したものです。入力がすべて済んでいて、何も編集をしていない「ベタ打ち」状態になります。なお、段落改行と行改行は書式ではないのでそのままです。

 

 また、Word2003で書式を一斉にクリアする方法は、「WORD のお節介(1)-文字の扱い」の<入力位置や文字修飾に関するお節介>で紹介しています。

<Word文書の入力はベタ打ちがお奨め>
 私たちは手書き文書を作るとき、人生長い間用紙に対する最終レイアウト(書式)を頭に描いて文章を作ることに慣れてきました。日付は右上に、標題は大きめの文字で中央に置くなど、文字の大きさや位置を考えながら文章を書いてきました。
 ところで、皆さんはWord文書を作るとき、文字入力をしたり書式設定をしたりしながら、文章を作っていませんか? Wordで文書を作るときは書式については一切何も考えず、すべて左揃えの「ベタ打ち」で入力し、後でゆっくりとすべての書式を設定していくことをお奨めします。
 私はWord初心者には基本的には「ベタ打ち」の文字入力をして、最後に書式設定するように話しています。この方がきれいにレイアウトされた文章をスムーズに作ることができます。急がば回れです。

 混乱しがちな箇条書き段落番号を付ける場合もこの方法がお奨めです。例えば、(あまりよい例ではありませんが)本稿の見出しの文章に段落番号を付けてみましょう。文章全部を選択して、「段落」グループの「段落番号」ボタンを押すだけで下記のように段落番号付き文書になります。

 

 さらに、1.項の2行目「こんな操作をするとき・・・」の前で「Enter」を入力すれば、ここが2.項になり、2.と3.項はそれぞれ3.と4.項になります。また、「こんな操作をするとき・・・」の前で「Shift+Enter」を入力すれば、単なる行改行のみが行われます。

 ここで、項目ごとに箇条書きや段落番号付き文書を作るときの要領をまとめてみます。それは上記のように「ベタ打ち」で、最初に段落の項目を書いて「Shift+Enter」で行改行をして、次にその内容説明を書きます。一つの項目を一つの段落にするのがミソです。
 いくつかの項目ごとにこんな段落入力を済ませておき、最後に全体を選択して書式を設定します。箇条書きや段落番号を付けるときは「Shift+Enter」の出番なのです。


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