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写真編集の理屈が分かる JTrim

(2020年04月15日)

 パソコンに取り込んだ写真を処理するソフトは一般に画像編集ソフトとい、写真のズーム表示・リサイズ・トリミング・明るさ&コントラスト修正などをするソフトです。Windows 10には標準でインストールされている「フォト」があり、かなり使いやすいソフトです。ここで述べる「JTrim」と併用して使ってください。
 ただ、私のお奨めは古くから人気のフリーソフト「JTrim」です。JTrimがいいのは画像の編集を、画素数という数値を用いて物理的に扱っているので、画像編集の本質が整理されてどんどん頭に入ることです。論理的な操作手順が理解しやすいのです。簡易で便利なソフトですから、私は長年に亘り今も使っていますし、多くの人にも使って欲しいソフトです。

<JTrimを奨めるわけ>
 最近のデジカメ写真の画素数は、2000万画素ほどもあります。一方、一般のPCのディスプレイのドット数は、100万ドットほどしかありません。写真の画素数はディスプレイのドット数と「1:1」に対応して表示されるので、撮ったばかりの写真をそのままディスプレイに表示すると、画素数が多すぎて顔の一部分とか、片方の足のみとか、背景の空や雲のみなどと、原理的に写真全体の「1/20」ぐらいの部分表示になります。
 ところで、私の知る限り他の画像編集ソフトではこんな表示はできません。原写真が1000万画素でも、500万画素でも、100万画素でも、一般の画像編集ソフトは写真全体を、ほぼ同じ大きさの、見やすい大きさでディスプレイに表示します。画素数を意識しない表示方法になっているのです。これに対してJTrimは、いつも原写真の画素数(単位:px=ピクセル)を意識して、画像処理をするようにできています。この点こそが、私が初心者にJTrimを奨める最大の理由です。画素数という物理的視点をはずすと、画像編集の基本の理屈が理解できないと思うからです。
 また、これぞと思う写真は、トリミングやコントラスト修正など(レタッチ:retouch といいます)をしたくなります。JTrim は画像の画素数を小さくするリサイズ、不要部分を取り除くトリミング、コントラストの修正、人物の赤目修正 プラスアルファぐらいの操作であれば、初心者でも簡単に扱える簡易なソフトです。
 さらに、JTrim は軽快に動作し、起動で長時間待たされるストレスもないので画像ビューアとしても使えます。JTrim は 作者のページ からダウンロードでき、JTrim Ring という応援グループもある人気ソフトです。 

<JTrim の使い方>
 下図は淀川の写真を JTrim で表示したものです。JTrim は全機能が「メニュー」または「ツールバー」から利用できるうえ、目的の操作を素早く見つけられるようにメニューの階層を少なくし、直感的に操作できるように工夫されています。下図ではよく使うツールバーを3つ赤枠で囲みました。左から「ズーム表示」「切り抜き(トリミング)」「リサイズ」のツールです。

1. ズーム表示
 PCディスプレイの一般的な表示能力は100万画素程度です。一方、デジカメやスマホ写真の画素数は2000万画素ほどもあります。これをそのまま表示(現寸表示)すると、写真の1/20ぐらいしか表示されず、残りの19/20 はディスプレイから溢れてしまいます。
 これを避けるため通常は、下図のように上図の赤枠で示した「ズーム」を押して、「ウィンドウに合わせる」「ズームの情報を保存する」の2つにチェックをしておきましょう。ただ、画素数が小さいときは「現寸表示」などがいいでしょう。
 さて、上図で右下の記述「1600×1200」と「25%」について説明します。この記述は192万画素(1600×1200)の画素数を縦横共に25%に、つまり総画素数を12万画素(1/4の2乗=1/16)に縮小して表示していることを示しています。残りの180万画素(192-12)は、画素を画像全体から満遍なく一時的に削除して別の場所に保管しておき、いつでも元に戻せるようにしています。
 奇異に思う人がいるかもしれませんが、「ズーム」とはディスプレイに表示できない画素数を一時的に仮削除して表示することです。次項に述べる「リサイズ」とは必要な画素数を残して他の画素は完全に削除する、という物理的な操作をすることです。ディスプレイのドット数と画像の画素数は「1:1」に対応するので、プログラムはこんな仕組みに作られているのです。

2. リサイズ
 JTrimのメニューで「イメージ」~「リサイズ」とたどるか、図の赤枠で示した「リサイズ」を押すと、下図が表示されます。元画像「1600×1200」(横縦比は4:3)を例えば 「800×600」にするには、「サイズを指定する」項目でその横縦いずれかの値を指定し、下方の「縦横に比率を保持する」「再サンプリングを行う」の2つにチェックがあることを確認して「OK」ボタンを押すだけです。
 リサイズとは必要な画素数を残して他の画素は削除するをすることですから、残った画素のドット間が粗くなります。一般の画像編集ソフトはこれを滑らかなにする画素の補間処理再サンプリングといいます)を自動的にするようになっています。ただ、JTrimでは「OK」ボタンを押した直後の画像は粗いままになっていますが、保存すると再サンプリングされて滑らかな画像になるので安心してください。
 操作の途中で「元に戻す」を利用するなどして最適なリサイズができます。最後に「名前を付けて保存」をしましょう。これなら元画像はちゃんと残ります。

3. 任意のサイズでトリミング
 画像を表示してそのままマウスで左上方から右下方にドラッグすると、下図のようにトリミングで残したい範囲が枠線で囲まれます。その後 4隅の■をドラッグしてトリミング範囲を微調整することができます。枠線で囲んだ範囲を大きく変えたいときは、枠線の外をクリックすれば枠線はなくなり初めから操作をやり直すこともできます。
 右下の表示「1572,844」は画像の左上隅を基点「0,0」としたときのマウスの位置を、「1556×656」はトリミング範囲の横縦の画素数を示しています。枠線の調整が終われば、最初の図の赤枠で示した「切り抜き(トリミング)」ボタンを押すと、トリミング範囲が確定します。最後に「名前を付けて保存」をしましょう。

4. 任意の縦横比でトリミング
 JTrimは一般的な縦横比である「16:9」「4:3」「3:2」などだけでなく、例えば「830:330」など まったく任意の縦横比に固定してトリミングすることもできます。
 JTrimで画像を開き「切り抜き(トリミング)」ボタン(「イメージ」~「切り抜き」でも可)を押すと、右図「座標指定切り取り」画面が現れます。ここで「縦横比を維持する」のチェックを外し、[座標1] x=0,y=0、[座標2] x=830,y=330 と入力します。この入力が終われば、下図のように「縦横比を維持する」に再度チェックを入れます。まだ、「OK」ボタンは押さないでください。

 下図に縦横比「830:330」で、画像をトリミングする手順を示します。上図に続き、そのままマウスで4隅をドラッグしたり、「手マーク」で囲み枠全体を動かしてトリミングします。これで囲み枠の縦横比を「830:330」に保ったままのトリミングができています。
 トリミング範囲が決まったら、「座標指定切り取り」画面の「OK」ボタンを押します。これで縦横比「830:330」でトリミングした画像の完成です。画像は「名前を付けて保存」しておきましょう。「座標指定切り取り」の縦横比の比率は、再設定するまで保持されます。
 下図下段の「1544×614」はトリミング後の画像サイズ(ピクセル)で、「830:330」と同じ比率になっていることを確認してください。また、この値は「座標指定切り取り」画面で、x=1600-56=1544、y=946-332=614 になっていることにも注目してください。
 なお、必要なら「2.リサイズ」の方法で、「830×330」ピクセルの画像サイズにリサイズすることもできます。

5. 明るさ&コントラスト修正など
 下図に示す「明るさ&コントラスト」は、明るさやコントラストを簡易に調整することができます。JTrim にはこの他にも、「赤目補正」「シャープネス」など多くの機能があります。Jtrim Ring を利用してみてください。


<jpegの品質>
 jpeg画像にリサイズやトリミングなど何らかの処理をして保存しようとすると、JTrimでは右図「保存オプション」で「保存の品質」を指定する画面が出ます。JTrimではデフォルト値は「80」になっています。他のソフトでも、ほぼ同じ仕組みになっています。
 jpeg画像は何らかの処理をして保存する度に、jpeg圧縮を繰り返し画質が低下します。この圧縮率の逆数を次のように「品質」や「画質」などと呼んでいます。下記ソフトで80%などの数値はデフォルト値です。
・JTrim:品質 80%(0~100%)
・フォト:品質 80%(0~100%)
・PhotoshopEL:画質 12 ?(1~12)
・縮小専用:JPEG量子化率 92%(0~100%)
Googleでは「85%」を薦めています
 ちなみに、一般のデジカメでは撮った写真はこんな処理をする前に、すでにjpegで圧縮されています。私のデジカメ「Lumix LX9」ではこれをクオリティと呼び、下図のように2種類の設定ができます。上段はデフォルトでBMP値のほぼ1/5、下段は1/10 程度に圧縮されるようです。


<拡張子の関連付け>
 画像の拡張子は「.jpg」の他、「.gif」「.png」などもよく使います。そしてこれに対応したソフトは極めて多く存在します。そこでこれらの拡張子に持つ画像をダブルクリックしたときに、常にJTrim のみを起動するようにしておくと便利です。
 このような設定を「拡張子の関連付け」といいます。私の別ページに「プログラムと拡張子の関連付け」の項があります。ここでJTrim を例にして拡張子の関連付けの説明をしています。参照してください。
 余談ですが、画像編集ソフトの最高峰はAdobe社の「Photoshop」で、プロ~セミプロ用として超有名なソフトで、価格も数万円ほどします。そのサブセット版の「Photoshop Elements」は普及品として人気のソフトですが、それでも一般の人が使いこなすには少し難しく、かなり重いソフトで起動にも時間がかかってしまいます。
 一般には、PC購入時にプレインストールされているもの、デジカメ・プリンタ・スキャナなどに付属するもの、書店で単独で売られているもの、ネット上のフリーソフトやシェアウェアなど、その選択に困ってしまうほど沢山存在します。
 それでも迷わず、画像ファイル「.jpg」「.gif」「.png」の関連付けは、JTrim にしてください。JTrim は間違いなく使いやすいソフトです。


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